平成10年法改正
意匠法
意匠法2条1項 この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。意匠法8条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。 意匠法3条2項 意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたときは、その意匠(意匠法3条1項各号に掲げるものを除く。)については、意匠法3条1項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。 意匠法3条の2 意匠登録出願に係る意匠が、当該意匠登録出願の日前の他の意匠登録出願であって当該意匠登録出願後に意匠法20条3項又は意匠法66条3項の規定により意匠公報に掲載されたものの願書の記載及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本に現された意匠の一部と同一又は類似であるときは、その意匠については、意匠法3条1項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。 意匠法5条 次に掲げる意匠については、意匠法3条の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。 三 物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠 意匠法6条3項 意匠法6条1項3号の意匠に係る物品の記載又は願書に添付した図面、写真若しくはひな形によってはその意匠の属する分野における通常の知識を有する者がその意匠に係る物品の材質又は大きさを理解することができないためその意匠を認識することができないときは、その意匠に係る物品の材質又は大きさを願書に記載しなければならない。 意匠法6条4項 意匠に係る物品の形状、模様又は色彩がその物品の有する機能に基づいて変化する場合において、その変化の前後にわたるその物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合について意匠登録を受けようとするときは、その旨及びその物品の当該機能の説明を願書に記載しなければならない。 意匠法6条5項 意匠法6条1項又は同2項の規定により提出する図面、写真又はひな形にその意匠の色彩を付するときは、白色又は黒色のうち一色については、彩色を省略することができる。 意匠法6条7項 意匠法6条1項の規定により提出する図面に意匠を記載し、又は意匠法6条2項の規定により提出する写真若しくはひな形に意匠を現す場合において、その意匠に係る物品の全部又は一部が透明であるときは、その旨を願書に記載しなければならない。 意匠法8条 同時に使用される二以上の物品であって通商産業省令(経済産業省令(平成11年改正))で定めるもの(以下「組物」という。)を構成する物品に係る意匠は、組物全体として統一があるときは、一意匠として出願をし、意匠登録を受けることができる。 意匠法9条3項 意匠登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、その意匠登録出願は、意匠法9条1項及び同2項の規定の適用については、初めからなかったものとみなす。ただし、その意匠登録出願について前項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。 意匠法9条の2 願書の記載(意匠法6条1項1号及び同2号に掲げる事項並びに意匠法6条2項の規定により記載した事項を除く。意匠法17条の2第1項及び意匠法24条において同じ。)又は願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本についてした補正がこれらの要旨を変更するものと意匠権の設定の登録があった後に認められたときは、その意匠登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす。 意匠法10条1項 意匠登録出願人は、自己の意匠登録出願に係る意匠のうちから選択した一の意匠(以下「本意匠」という。)に類似する意匠(以下「関連意匠」という。)については、本意匠の意匠登録出願の日(意匠法15条において準用する特許法43条1項又は特許法43条の2第1項若しくは同2項の規定による優先権の主張を伴う意匠登録出願にあっては、最初の出願若しくはパリ条約4条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又はパリ条約4条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日。以下この項において同じ。)とその関連意匠の意匠登録出願の日とが同日である場合に限り、意匠法9条2項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができる。 意匠法10条2項 意匠法10条1項の規定により意匠登録を受ける関連意匠にのみ類似する意匠については、意匠登録を受けることができない。 意匠法10条3項 本意匠に係る二以上の関連意匠の意匠登録出願があったときは、これらの関連意匠については、意匠法9条2項の規定は、適用しない。 意匠法10条の2第2項 意匠法10条の2第1項の規定による意匠登録出願の分割があったときは、新たな意匠登録出願は、もとの意匠登録出願の時にしたものとみなす。ただし、意匠法4条3項並びに意匠法15条1項において準用する特許法43条1項及び同2項(意匠法15条1項において準用する意匠法43条の2第3項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、この限りでない。 意匠法11条及び意匠法12条 削除 意匠法13条1項 特許出願人は、その特許出願を意匠登録出願に変更することができる。ただし、その特許出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達(工業所有権に関する手続等の特例に関する法律の規定により当該謄本の送達とみなされるものを含む。)があった日から30日を経過した後は、この限りでない。 意匠法13条4項 意匠法13条1項又は同2項の規定による出願の変更があったときは、もとの出願は、取り下げたものとみなす。 意匠法13条5項 意匠法10条の2第2項(及び同3項(平成11年改正))の規定は、意匠法13条1項又は同2項の規定による出願の変更の場合に準用する。 意匠法15条 特許法38条(共同出願)、特許法43条1項から同4項まで(パリ条約による優先権主張の手続)及び特許法43条の2(パリ条約の例による優先権主張)の規定は、意匠登録出願に準用する。この場合において、特許法43条2項中「次の各号に掲げる日のうら最先の日から1年4月」とあるのは、「意匠登録出願の日から3月」と読み替えるものとする。 意匠法17条 審査官は、意匠登録出願が次の各号の一に該当するときは、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。 一 その意匠登録出願に係る意匠が意匠法3条、意匠法3条の2、意匠法5条、意匠法8条、意匠法9条1項若しくは同2項、意匠法10条1項若しくは同2項、意匠法15条1項において準用する特許法38条又は意匠法68条3項において準用する特許法25条の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。 三 その意匠登録出願が意匠法7条に規定する要件を満たしていないとき。 意匠法20条3項 意匠法20条2項の登録があったときは、次に掲げる事項を意匠公報に掲載しなければならない。 四 願書及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本の内容 五 前各号に掲げるもののほか、必要な事項 意匠法21条1項 意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、設定の登録の日から15年をもって終了する。 意匠法21条2項 関連意匠の意匠権の存続期間は、その本意匠の意匠権の設定の登録の日から15年をもって終了する。 意匠法22条1項 本意匠及びその関連意匠の意匠権は、分離して移転することができない。 意匠法22条2項 本意匠の意匠権が意匠法44条4項の規定により消滅したとき、無効にすべき旨の審決が確定したとき、又は放棄されたときは、当該本意匠に係る関連意匠の意匠権は、分離して移転することができない。 意匠法27条1項 意匠権者は、その意匠権について専用実施権を設定することができる。ただし、本意匠又は関連意匠の意匠権についての専用実施権は、本意匠及びすべての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。 意匠法27条3項 本意匠の意匠権が意匠法44条4項の規定により消滅したとき、無効にすべき旨の審決が確定したとき、又は放棄されたときは、当該本意匠に係る関連意匠の意匠権についての専用実施権は、すべての関連意匠の意匠権について同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。 意匠法28条3項 特許法73条1項(共有)、特許法97条3項(放棄)及び特許法99条(登録の効果)の規定は、通常実施権に準用する。この場合において、特許法99条2項中「特許法79条」とあるのは、「意匠法29条若しくは意匠法29条の2」と読み替えるものとする。 意匠法29条の2 意匠登録出願に係る意匠を知らないで自らその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をし、又は意匠登録出願に係る意匠を知らないでその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をした書から知得して、意匠権の設定の登録の際現に日本国内においてその意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者(意匠法29条に該当する者を除く。)は、意匠法29条の2各号のいずれにも該当する場合に限り、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠登録出願に係る意匠権について通常実施権を有する。 一 その意匠登録出願の日前に、自らその意匠又はこれに類似する意匠について意匠登録出願をし、当該意匠登録出願に係る意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者であること。 二 意匠法29条の2第1号の自らした意匠登録出願について、その意匠登録出願に係る意匠が意匠法3条1項各号の一に該当し、拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定した者であること。 意匠法39条1項 意匠権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の意匠権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物品を譲渡したときは、その譲渡した物品の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、意匠権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物品の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、意匠権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた額を超えない限度において、意匠権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を意匠権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。 意匠法39条3項 意匠権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の意匠権又は専用実施権を侵害した者に対し、その登録意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。 意匠法39条4項 意匠法39条3項の規定は、意匠法39条3項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、意匠権又は専用実施権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかったときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。 意匠法42条1項 意匠権の設定の登録を受ける者又は意匠権者は、登録料として、意匠法21条に規定する存続期間の満了までの各年について、一件ごとに、次に掲げる金額を納付しなければならない。 意匠法42条2項 意匠法42条1項の規定は、国に属する意匠権には、適用しない。 意匠法42条3項 意匠法42条1項の登録料は、意匠権が国と国以外の者との共有に係る場合であって持分の定めがあるときは、意匠法42条1項の規定にかかわらず、意匠法42条1項に規定する登録料の金額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。 意匠法42条4項 意匠法42条3項の規定により算定した登録料の金額に10円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。 意匠法42条5項 意匠法42条1項の登録科の納付は、通商産業省令(経済産業省令(平成11年改正))で定めるところにより、特許印紙をもってしなければならない。ただし、通商産業省令(経済産業省令(平成11年改正))で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもって納めることができる。 意匠法43条1項 意匠法42条1項1号の規定による第1年分の登録料は、意匠登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があった日から30日以内に納付しなければならない。 意匠法48条 意匠登録が次の各号の一(いずれか(平成15年改正))に該当するときは、その意匠登録を無効にすることについて意匠登録無効審判を請求することができる。 一 その意匠登録が意匠法3条、意匠法3条の2、意匠法5条、意匠法9条1項若しくは同2項、意匠法10条2項、意匠法15条1項において準用する特許法38条又は意匠法68条3項において準用する特許法25条の規定に違反してされたとき。 意匠法49条 意匠登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、意匠権は、初めから存在しなかったものとみなす。ただし、意匠登録が意匠法48条1項4号に該当する場合において、その意匠登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、意匠権は、その意匠登録が同号に該当するに至った時から存在しなかったものとみなす。 意匠法63条1項 何人も、特許庁長官に対し、意匠登録に関し、証明、書類の謄本若しくは抄本の交付、書類、ひな形若しくは見本の閲覧若しくは謄写又は意匠原簿のうち磁気テープをもって調製した部分に記録されている事項を記載した書類の交付を請求することができる。ただし、次に掲げる書類、ひな形又は見本については、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるときは、この限りでない。 一 願書、願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本又は意匠登録出願の審査に係る書類であって、意匠登録がされていないもの 四 意匠登録無効審判又はその審判の確定審決に対する再審に係る書類であって、当事者又は参加人から当該当事者又は参加人の保有する営業秘密(不正競争防止法2条4項に規定する営業秘密をいう。)が記載された旨の申出があったもの 五 個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがあるもの 意匠法63条2項 特許庁長官は、意匠法63条1項1号から同5号までに掲げる書類、ひな形又は見本について、意匠法63条1項本文の請求を認めるときは、当該書類、ひな形又は見本を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。 意匠法66条2項 意匠公報には、この法律に規定するもののほか、次に掲げる事項を掲載しなければならない。 二 審判若しくは再審の請求若しくはその取下げ又は審判若しくは再審の確定審決(意匠権の設定の登録がされたものに限る。) 四 意匠法59条1項の訴えについての確定判決(意匠権の設定の登録がされたものに限る。) 意匠法66条3項 意匠法66条2項に規定するもののほか、意匠法9条2項後段の規定に該当することにより意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、その意匠登録出願について、次に掲げる事項を意匠公報に掲載しなければならない。この場合において、その意匠登録出願の中に意匠法14条1項の規定により秘密にすることを請求した意匠登録出願があるときは、すべての意匠登録出願に関する意匠法66条3項3号に掲げる事項は、拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定した日から意匠法66条3項の規定により指定した期間(秘密にすることを請求した意匠登録出願が二以上ある場合には、そのうち最も長い期間)の経過後遅滞なく掲載するものとする。 一 意匠登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所 二 意匠登録出願の番号及び年月日 三 願書及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本の内容 四 前3号に掲げるもののほか、必要な事項 意匠法67条4項 意匠権又は意匠登録を受ける権利が国と国以外の者との共有に係る場合であって持分の定めがあるときは、国と国以外の者が自己の意匠権又は意匠登録を受ける権利について意匠法67条1項又は同2項の規定により納付すべき手数料(政令で定めるものに限る。)は、これらの規定にかかわらず、これらに規定する手数料の金額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。 意匠法67条5項 意匠法67条4項の規定により算定した手数料の金額に10円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。 意匠法69条 意匠権又は専用実施権を侵害した者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。 意匠法74条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号で定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。一 意匠法69条(又は意匠法73条の2第1項(平成16年改正)) 1億円以下の罰金刑 二 意匠法70条又は意匠法71条 各本条(3000万円(平成11年改正)以下)の罰金刑 |